上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
当院では、上部消化管内視鏡を用いた検査を行っています。同検査は一般的には胃カメラと呼ばれるもので、細長いチューブの先端に対物レンズや照明、鉗子口が内蔵した医療検査機器になります。これを口または鼻から挿入していくことで、医師が操作部でハンドリングしながらさらに奥へと導くことで、食道、胃、十二指腸の内腔の様子や病変の有無などがモニターを通してデジタル画像で確認します。また、がんなどの病変が疑われる場合は、一部の組織を採取して、顕微鏡で詳細を調べる(生検)ことも可能です。
上部消化管内視鏡による検査が勧められる方
- みぞおち周囲に痛みがある
- 胃の不快感・胸やけ・喉または胸のつかえを感じる
- 吐き気・嘔吐・吐血の症状がある
- 体重が急激に減少している
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍が繰り返される
- 家族が胃がん・食道がんに罹患したことがある
- 塩分の摂取量が多い
- バリウムによる胃の検診で異常を指摘された など
同検査で発見されやすい主な疾患(例)
当院での内視鏡とは
当院では、鼻の出血や痛みを考慮して、経口内視鏡をしています。当院の内視鏡は極細形の細いスコープで(先端径5.8mm)かなり飲み込みやすいタイプです。さらに検査を楽にしていただけるよう、鎮静剤を使用しています。
ピロリ菌検査
ピロリ菌の正式名称は、ヘリコバクター・ピロリです。これは胃の中に生息する病原微生物のことで、その体長は4ミクロン(4/1000mm)程度と言われています。
もともと胃の中は、酸性が強い胃酸が分泌されていることから、細菌などは生きにくい状況下にあります。ただピロリ菌は、それほど酸性が強くない幼児期のうちに何らかの経路によって侵入し、特殊な酵素(ウレアーゼ)を産生することで、胃内の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解、このアンモニアによって胃酸を中和して生息し続けているとされています。なお感染経路については完全に特定したわけではありませんが、主にピロリ菌に感染した成人(保護者 など)からの食べ物の口移し等によってうつるのではないかと考えられています。
ピロリ菌に感染すると、胃粘膜に炎症が起きるようになりますが、長期化すると感染部位は広がっていき、やがて胃粘膜全体に広がっていきます。これが慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)です。この慢性胃炎をきっかけにして、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎が発症します。また萎縮性胃炎による胃粘膜の萎縮から、その一部に腸上皮化生(腸に似た組織になる)がみられるようになりますが、これは胃がんを発生させやすい状態にします。なお胃がんを起こす原因の90%以上はピロリ菌感染によるものと言われています。そのため、胃がんを予防するためには、ピロリ菌の除菌はとても大切です。
なお胃がんは、初期症状が現れることは少なく、症状が出てくるとかなり進行していることが多いので気になる症状や違和感などを覚えるようなら早めにご受診されることをお勧めします。
検査について
当院でのピロリ菌の感染の有無を確認する検査には、血中抗体価と尿素呼気テストしています。
除菌治療について
ピロリ菌の感染が確認されたら除菌治療を開始します。その内容は薬物療法で、主に胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を1週間限定(朝夕1日2回)で服用します。そして服用を終えた日からちょうど2ヵ月後に除菌検査(尿素呼気テスト)をします。検査の結果、除菌ができなかった場合は二次除菌となります。この場合、一次除菌とは別の薬の組み合わせによる薬物療法を行います。除菌率に関しては、数年前から発売されたタケキャブを使用することにより一次除菌が約90%、二次除菌では約100%の確率でピロリ菌が除菌されるとしています。